銀行の悪習「書き上げ」終焉 不動産バブルも終焉?
かつて金融庁の長官がスルガを持ち上げたことがありました。
当時はスルガ銀行は地方銀行でありながら、高金利で不動産担保融資を積極的に行い、業績が好調だったからです。
しかも長引く低金利時代にあって多くの地方銀行が苦戦が強いられるなか、地方銀行でも十分にやっていけるということを示したかったのかもしれません。
そこでスルガ銀行の右に倣えと不動産担保融資に積極的になった地方銀行も少なくなかったことでしょう。
しかし皮肉にも地方銀行の模範生として持ち上げられた、あのスルガ銀行が後に本来は融資できるような案件でなくても、改ざんによって不動産担保融資を行っていたことが明るみになり、大変なことになります。
そしてスルガ銀行のあの事件のあと、金融庁は銀行の不動産融資の実態を調査するようになり、銀行も不動産担保融資の審査が厳しくなっていったようです。
しかもその最中に今度はレオパレス21の施工不良問題が生じてしまい、金融庁としてはさらに不動産担保融資について厳しいチェックをせざるを得なくなっているのだとか。
それにしてもスルガ銀行が行っていた書類の改ざんですが、業界では「書き上げ」と呼ばれるそうで、実際のところは珍しくないそうです。
ということは、いわゆる「書き上げ」を行っているのはスルガ銀行だけではなく、他行においてもそのようなことが平然と行われてきたということなのでしょうか。
スルガ銀行の場合は、シュアハウスかぼちゃの馬車のトラブルで、たまたま発覚してしまったということなのかもしれません。
それにしても金融庁が最も懸念しているのは、地方銀行の破たんにあるようです。
つまりはスルガ銀行が、あの事件をおこしてから株価が急落して、経営が揺らいでいます。(一時期は3000円近くあった株価が現在では500~550円で推移)
そして同じような不正が他行でも発覚して、スルガ銀行と同じように株価が急落して経営危機に陥る銀行が生じることを懸念しているというのです。
ということはどの銀行でも、不動産担保融資の審査は厳格され、銀行に申し込めば九分九厘、融資のOKがもらえる時代は終わったということなのかもしれません。
もちろんアパートバブルの時代、競合物件の増大に悩むオーナーとしては、ちょっと安心といったところなのかもしれませんが。
追記:不正な操作は銀行業界のみならず、不動産や他の業界でもみられることです。
その目的は成績を上げることにほかなりませんが、事実が発覚すると信用が失墜します。
とくに2019年は不正なビジネスとして様々な出来事が取りざたされました。
例えば、簡保生命の高齢者相手の不適切な保険契約、レオパレス21による大規模な施工不良などがあります。
いずれのケースも、成績を上げるために不正ともいえる方法で行った事柄が発覚した事例です。
それにしても銀行といえば、比較的クリーンなイメージのある業界ですが、しかし他行との競争が激しいためか、時には生き残りをかけて、正しいとはいえない方法で事を行ってしまうことがあるようです。
競争社会の生み出した悪習とでもいうのでしょうか。
もちろん競争によって良いこともあるとの意見もあります。
そのなかには顧客サービスの向上などがあるかもしれません。
しかし競争により、フェアでない方法で事を行おうとするプレッシャーがかかるのも事実のようです。