東京への転入が激減したといっても
長引く新型コロナウィルス感染症に社会が揺れるなか、人の流れにも多少の影響が生じています。
そしてその1つが、最近メディアで、しばしば報道されている事柄ですが、東京への転入が激減しているというてんです。
これまでは東京一極集中で、東京や東京の都市近郊は、賃貸需要が旺盛で、家賃も高く推移していました。
しかし東京への転入が減るとなると、賃貸住宅需要にも陰りが生じるのではないかという懸念が生じてきます。
NHKのサイトの「東京「転出超過」続き「転入超過」6割以上減 新型コロナ影響で」というタイトル記事には(2021/1/29)
東京都の人口の動きについて、これまで続いてきた転入が転出を上回る「転入超過」の人数は、去年1年間で3万人余りと前の年から6割以上減少しました。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、去年7月から6か月連続で「転出超過」となったため、東京一極集中のスピードが緩やかになったことがわかりました。
引用:東京「転出超過」続き「転入超過」6割以上減 新型コロナ影響で | 新型コロナウイルス | NHKニュース(アクセス日2021/1/30)
と書かれているとおりです。
ということは新型コロナの影響で、多くの人が東京から地方へ脱出しているのかと考えてしまいそうですが、冷静に分析してみると実際はそうではないようです。
まずは東京からの転出ですが、増えているといっても急増しているというわけではないようです。
むしろ東京で失職した人が、ひとまずは地方へと戻っていった分が増えたとみることができます。
一方で、東京への転入が激減しているのは、コロナがなければ東京に来るはずの人たちが来れなくなったがゆえに転入が減ったとみることができます。
実際、東京の本社などでは、リモートワークを行う企業が多く、本社勤務の社員などは、東京に来なくても仕事を行える状況です。
上記のNHKの記事にも
民間のシンクタンク、都市戦略研究所の所長を務める明治大学の市川宏雄名誉教授は「東京一極集中の流れが少し止まったと言えるが、東京圏内の動きが中心なので、劇的な減少になるとは考えにくい。新型コロナウイルスによって、人々の考え方も行動も変わる可能性が高いので、今後、どう定着していくかに注目している」と話しています。
一方で、東京から地方への移住については「地方側が受け入れられるかという別の課題があり、相互の考え方のミスマッチが解消されないかぎり、地方への人口流動は起きないだろう」と指摘しています。
と述べて、これを機に東京の人口が減少し続けるのは考えにくいとのことです。
実際のところ、地方への移住といえども、もともと都会の利便性の良い生活に慣れた人が、地方への生活に馴染むことができればといえば、難しい部分もあるようです。
とくに地方のコミュニティは、都会にない温かさがある反面、窮屈さや村八分になる怖さもあります。
都会では、そのような怖さはあまりありませんが。
なので性急に東京の賃貸需要は、過去のことだと結論づけることはできません。