賃料増額を期待させながら減額し契約も一方的に解除した建設会社
2016年8月11日の朝日新聞の一括借上げトラブルの記事は社会にインパクトのあるものでした。
今回はその記事にでてくる元一括借上げオーナーの体験について読んで考えたことについて書いてみたいと思います。
その方は60歳代の千葉県の方です。
記事によると
1億円の借入をして、アパート2棟を建てたとのこと。30年一括借上げで建て、契約時に3年後の賃料更新のさい原則3%上げるとの説明も受けていた。しかし賃料は上がらず、上がるどころか減額された。そして2011年には入居率は悪い中、一方的に契約を解除され、一時期、家賃収入は0になってしまったとのこと。そして借入金の返済計画が大きく狂わされた。
記事名:「家賃保証」トラブル急増
一見するとひどい話です。
まず私が関心があるのは、どの建設会社と契約したのかというてんです。
記事では明らかにしていません。
わかるのは最初の3年は賃料が固定で以後、2年毎に更新する建設会社のようです。(1990年代後半時において)
また大手の建設会社とも書かれています。
どこの建設会社かわかりませんが、どうも大東建託ではなさそうです。
ただ賃料の値上げを言っておきながら値上げせず、値上げするどころか減額したというのは、厳密には違法にあたらないかもしれませんが、メーカーのモラルを疑いたくなります。
実際、一括借上げメーカーはとにかく契約をとらなければならないので、「この物件ならば将来の更新時に賃料を増額することができるかもしれない」と言って契約をとることが、しばしばあるようです。
騙されないようにしなければなりません。
というのも
ですからエリアの家賃相場が下がれば、オーナーに支払われる賃料も減ります。
さらに経年劣化は家賃を下げる圧力となります。
ですから、近くの信頼できる地元の不動産屋さんに契約前に立地エリアの家賃相場や、今後の見通しなどについて尋ねてみることができるかもしれません。
消極的な事柄が多ければ、アパート経営には向かない土地ということで、一括借上げメーカーの勧誘を、きっぱりと断るのが賢明な場合もあることでしょう。
追記:大東建託の一括借り上げの場合は、賃料改定は10年とその後は5年ごとに行われます。
またレオパレス21の賃料改定も10年とその後は2年ごとに行われます。
ということは上記のケースは大東建託でもレオパレス21でもないようです。
ただし大東建託はテナント賃貸については3年ごとに行われますが、個人のアパート事業者が、建物すべてをテナント貸しにすることは考えにくいので、やはり大東建託ではないと思われます。
ところで、2008年に生じたリーマンションックは賃貸住宅にも大きな影響を与えたことはよく知られています。
あのレオパレス21もオーナーとの関係が、ぎくしゃくしだしたのはリーマンショック後です。
ではなぜリーマンショックが賃貸住宅市場にもインパクトを与えたのか?
それはその後の不況で賃貸住宅の法人顧客が減ったことにあるようです。
企業もリーマンショックの痛手から、賃貸住宅の社員のための、法人契約を解除し始め、賃貸住宅としては上客の法人顧客を失うことにより、家賃相場が崩れていったようです。
あれから家賃相場は、賃貸住宅の供給過剰などで、なかなか戻りませんが・・。
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