不動産投資ブームはいつ終焉するか
2016年は不動産投資ブームでした。
おかげで大和ハウス工業や積水ハウスそして大東建託といった賃貸住宅建設施行会社はアパート急増のために2016年は各メーカーとも賃貸住宅部門は業績好調でした。
しかしなぜ今が不動産投資ブームなのでしょうか。
日本経済が好調のために不動産投資も活発になったというわけではありません。
政府日銀は景気刺激策として超低金利政策を取り続けていますが、借りたお金の投資先が限られ、国内では不動産投資以外にこれといった投資先がないために不動産投資ブームになっているといわれています。
銀行もとにかく低金利時代、より多く貸し出すことが求められていますが、企業も借り入れに積極的ではないがために、不動産融資に力を入れざるを得ないのです。
こういった理由で不動産市況が活況になっているわけですが、いつまでこのブームが続くのでしょうか。
一部の不動産関係者は、もはや賃貸住宅は飽和状態になりつつあると指摘している方もおられます。
飽和状態が意識されるようになり収まっていくのでしょうか。
ところでこのてんでZAKZAK2016年11月5日の「日本の資本主義は終わったか 最後のよりどころ不動産投資 金利差拡大ならマネーは米国へ」という記事のなかで住宅ジャーナリストの榊敦司氏によると
日米の金利差が広がれば、自己増殖を求めるマネーは日本から逃げ出して米国に向かう
と述べています。
つまりは円安傾向が鮮明になれば、マネーは不動産から海外投資へと流れが変わるというのです。
この時こそ不動産投資ブームが沈静化する時になるかもしれません。
不動産投資ブームの終焉は私たちアパート大家にとっては望む事柄です。
その理由は
その1 競合物件の増加は相場家賃の下落をまねくことになる。
家賃も基本的には需要と供給のバランスで決まります。
当然、供給が過剰になれば、全体的に家賃相場は下がります。
その2 アパート急増は建設費等の高騰をもたらす。
建設費等の高騰理由は人手不足のための人件費の高騰、資材不足による建築資材の高騰があります。
いずれもアパート急増によって生じます。
よって大家にとっては不動産投資ブームの終焉は、歓迎すべき事柄になるのです。
現在、日銀はさらなるマイナス金利拡大の時期を見計らい、一方でアメリカの中央銀行は金利上げのタイミングを伺っています。
日米の実質金利差が拡大していくならば円安傾向がしばらく続くことになり、本当に不動産投資は沈静化するかもしれません。
追記:その後、数年が経過しましたが、円安は進んでいません。
金利は上がっていません、というか固定金利などは、さらに下がっています。
ですから、この面での不動産投資は環境的には良いのですが、しかし最近は沈静化しています。
不動産投資ブームにブレーキがかかった理由としては
①レオパレス21や大和ハウス工業など、賃貸住宅大手による大規模な施工不良や不備物件が明らかになり、業界全体が不信感をもたれるようになっている。
現に賃貸住宅最大手の大東建託は、大東建託の物件そのものには問題は発覚していないものの、明らかにアパート建設が鈍化しています。
②金融庁が不動産担保融資の監視を強化しており、銀行が不動産担保融資の審査を厳しくしたこと。
例えば融資の条件として、頭金が必要だとか、アパート経営の採算性なども考慮されるようになり、不動産投資がこれまでのように行えなくなっているようです。
他にもメディア等で、不動産投資の難しさを強調する記事が掲載されるようになって、不動産投資をしたところで必ずしも儲かるわけではないこと、場合によれば資産を失う場合があることに世間が気づき始めたことなども影響しているようです。