住宅セーフティネット制度というのがあった?
人が生きていくうえで、最低限必要なものといえば「衣食住」という言葉で表されていますが、この言葉にあるように身に着けるための衣服、そして食べ物、住むための住居は基本的に必要なものです。
このてんで住居については、低額所得者、被災者、高齢者、障害者といった住居を確保するのに難しい人たちにとってのセーフティネットのようになってきたのは公営住宅でした。
しかし近年、自治体も財政状況が厳しくなかなか新しい公営住宅の建設や修繕、あるいは建て替えといった事柄を行うのが容易ではなくなってきているようです。
そうようななか国土交通省が注目したのが民間の賃貸住宅や空き家です。
これらの住宅に多少手を加えて、セーフティネット的な役割を果たしてもらおうと動いています。
このてんで国土交通省のサイトには「住宅セーフティネット制度について」という記事がありますがそれによると
平成29年4月に公布された住宅セーフティネット法の改正法が同年10月25日に施行され、高齢者、低額所得者、子育て世帯等の住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度など、民間賃貸住宅や空き家を活用した「新たな住宅セーフティネット制度」が本格的に始まりました。 住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録、登録された住宅の検索・閲覧などに関する情報は、「セーフティネット住宅情報提供システム」をご覧ください。
(最終閲覧日2018/5/7)
と書かれています。
このような国土交通省による新たな制度の目的は高齢者、低額所得者、子育て世帯等といった「住宅確保要配慮者」のための制度ということです。
そしてこの説明文の後半には「住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録、登録された住宅の検索・閲覧などに関する情報は、「セーフティネット住宅情報提供システム」をご覧ください。」と書かれていますので実際に「セーフティネット住宅情報提供システム」でどのような賃貸住宅が登録されているかを調べてみますと、幾つかの登録された賃貸住宅の情報を知ることができます。
そしてそこには家賃なども表示されていますので、家賃がどれくらいかをよく見てみますと通常の家賃よりも20%~50%程度安くなっているのかなあといった感じです。
いずれにしても運営が厳しくなっている公営住宅を補うような形で、今後もこのような賃貸住宅が増えていくと思われますので、住居の確保が厳しい人たちにとっては、多少の助けとなる制度といえるでしょう。
もちろん課題としては、まだまだ登録されている住宅数が少ないこと、またこうした制度があることがあまり認知されていないといった事があるかもしれません。
しかし今後、民間のアパート空室問題が深刻になっていく時代にあって、この制度が浸透していくならば、住宅確保要配慮者にとっても、またアパートマンション大家にとってもメリットのある制度となっていくことでしょう。
追記:LIHULL介護のサイトには、この制度のデメリットについて書かれています。
それによると
制度が始まって日が浅く対象物件が少ない
空き家利用の場合「居室面積が狭い」「築年数が古い」「駅から遠い」など条件が整わないケースがある
キッチンやバス、トイレなどの設備が共用の場合があり、プライバシーが保たれにくい
入居者は何かしらの事情を抱え、精神的に不安定な状態にあることなどが想定され、トラブルが起こる可能性がある
引用:https://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/list/house/safetynet-jutaku/(アクセス日2020/6/2)
と書かれています。
とにかく賃料が安いというメリットがある反面、多くのデメリットもあるようです。
追記:その一方で住宅セーフティネットに登録するメリットについては以下の記事をご覧ください。
最近はアパートマンションの空室率が上昇傾向にあります。
私の周辺エリアにおいてもアパートやマンションがこの10年で、激増したおかげで、私の所有物件においても空室になった後に、新たな入居者が決まるのに以前よりも時間がかかるようになりました。
やはり新築物件や築年数が5年未満の物件が優先的に空室が埋まっていくようです。
こうなると築年数の経った物件が、新築物件とうまく競合していくためには、リーズナブルな家賃で対峙していくしかありません。
家賃が同じレベルにあると、多くの場合、人はより新しいものを選択するからです。
ところで相場家賃以下に家賃を下げてもどうしても空室が埋まらない時に打つ手があります。
それが住宅セーフティネット制度に所有物件を登録することです。
この住宅セーフティネット制度に所有物件を登録するメリットについて国交省の「住宅セーフティネット制度」のサイトの「大家さん向け住宅確保要配慮者受け入れハンドブック」には
大家さんには次のようなメリットがあります。
・ 登録した住宅が専用ホームページに掲載され、広く周知 されます。 ・ 居住支援協議会に参画する不動産関係団体、居住支援 団体や自治体のネットワークによって、入居者が確保しや すくなります。
・ 一定の要件のもと改修費等への補助が受けられます。 さらに、今後、増加が見込まれている高齢者や外国人等の 住宅確保要配慮者(要配慮者)を受け入れる際のノウハウや 支援団体等とのネットワークが得られることで、安定的な賃貸 経営につながるものと考えられます。
(最終閲覧日2018/5/21)
と書かれています。
このように住宅セーフティネットの専用ホームページに物件が掲載され広く周知されることや、種々のネットワークを通じて入居斡旋が行われると書かれていますが、たしかにこのような仕方で空室が埋まる可能性は高くなることでしょう。
さらに入居斡旋に間接的に影響する事柄として一定の要件にかなうならば改修費用の補助を受けることができるというメリットもあります。
このことはとても大きなメリットだと思います。
というのも通常、改修費用にはかなりの金額がかかりますが、それを補助してくれるというのです。
このように住宅セーフティネット制度に登録することにはたしかにメリットがあります。
もちろん注意すべきてんがあります。
それは家賃が周辺エリアの相場よりも割安になる可能性があり、毎月の家賃収入が減少するかもしれないことは注意すべきてんです。
しかしどうしても空室リスクから抜け出せないないならば、住宅セーフティネット制度を活用することができるかもしれません。
20/9/11