定期借家契約にすればオーナーが有利になる?
これまでの2回にわたるのブログでは借地借家法について取り上げた記事を書きましたが、先々回においては借地借家法によって入居者が正当な理由がなければ賃貸人の求めによって退去する必要がないことについて、先回は家賃についての増減は入居者と賃貸人の協議による合意が基本であることについて書きました。
今回は建物の所有者つまり大家が変わった時の事柄について取り上げてみたいと思います。
今の時代、建物の大家が変わることはしばしば生じ得ることです。
大家が死去したり、さらには大家のアパート経営が破たんして変わることもよく生じています。
その場合、新しい所有者がつまり大家になりますが、新しい大家が正当な理由もなく退去を求めてきた場合にはどうなるのでしょうか。
この場合も借地借家法によって、借家権を主張して退去を回避することができます。
もし大家がどうしても退去させようとして家賃を大きく上げてきたとしても、借地借家法には家賃についての規定もあり、この法を盾にして争うこともできます。
もちろん大家に執拗に退去へと追い立てられるならば、居心地が良いことはないと思いますので、あきらめることも肝心かもしれませんが。
しかし基本的な考え方としては大家が変わったからといって退去する必要はありません。
ところで定期借家制度というものもあります。
これはテナント賃貸に多くみられるものですが、例えば10年、20年といった契約期間を定めて、契約期間の更新はなし、しかし契約期間は入居者側も解約できないというものです。
例えば大きな事務所をある会社に貸すにとしても、賃貸人にすれば、もしもすぐに退去されれば、一気に高額のテナント賃料が入らなくなり困った事態になります。
しかし定期借家制度で貸すならば、契約期間は原則解約ができないので安心です。
どちらかといえば、定期借家制度は大家にとって将来の経済的な見通しを立ちやすくするので、大家にとってもありがたい制度でもあります。
最近はサブリース契約でアパートマンション経営をする時にも、定期借家にするとよいとする方もおられますが、どれぐらいの方がそうしておられるのでしょうか。
もし気に入らないサブリース業者ならば例えば10年の契約にしているならば、定期借家ならば、10年でそのサブリース業者には退去してもらうことができます。
このように定期借家にすることによって、ある程度、大家の意向で事を動かすことができるのです。
ところでざっとではありますが借地借家法そして定期借家制度について取り上げてみました。
入居者も賃貸人もこれらの法や制度にしたがっていかなければなりません。
またこれらの法や制度のおかげで不当に損失を被ることがないように守られています。
アパート経営を行っている大家さんもこれらのてんについて熟知しているのは大切な事だと思います。