サブリース物件オーナーが破産の危機に直面した事例

賃貸アパート画像

最近はサブリース物件オーナーが増えていますが・・。

以前のことですが、サブリース物件に関するトラブルで注目されていたのが、レオパレス21とその物件オーナーとのトラブルがメディアでも取り上げられ、注目を集めていました。

ところで2108年になって、急に注目を集めるようになったニュースがありました。

それは女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営する不動産会社スマートデイズと物件所有者とのトラブルでなんとスマートディズは物件所有者への賃借料の支払いを突然停止したというのです。

レオパレス21も賃借料の大幅な減額は行ったものの、契約している物件オーナーへの賃借料の支払いを停止するまでは行っていなかったようです。

今回の事例はより深刻な事態と言わざるをえません。

このてんについて日本経済新聞2018年2月15日には

所有者は1億円以上を借りている人が大半で、NPOは自己破産者が続出する恐れがあると警戒する。NPO法人が運営するサブリース問題解決センター(東京)ではスマートデイズに関する相談が既に100件を超えた。・・物件を複数所有して借金が数億円に膨らみ、自己破産をほのめかした人もいた。・・スマートデイズは首都圏を中心に1万室以上を展開するが、資金繰りが悪化し、賃借料を支払えなくなった。所有者は700人程度とみられることから、大谷昭二センター長は「自己破産者が数百人出てもおかしくない」と懸念している。

 

シェアハウスの相談急増 NPO「破産続出」警戒 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

サブリース会社が傾けば、物件オーナーにしわ寄せがくる。

この記事によりますと、スマートディズの物件オーナーは700人程度と、大東建託のオーナー数8万人と比べれば、かなり規模が小さいものであることがわかりますが、しかしスマートディズオーナーの大半は1億円以上、金融機関から借り入れをしており、なかには数億円も借りている人もいるとのこと。

それらのオーナーは金融機関に毎月、利息を含めて最低でも数十万円は返済していかなければならないと思いますが、賃借料が入ってこないとなると、当然、返済ができなくなるオーナーも続出し破産してしまうというわけです。

サブリース問題解決センターの大谷昭二さんの指摘では「数百人」の破産者がでるかもしれないということですから、大変なことです。

この事例から、サブリース契約による不動産投資は、サブリース会社がどのような会社なのかしっかりとよく調べること、さらに今回の事例ではスルガ銀行のオーナーへの融資が多かったようですが、銀行が融資してくれるから大丈夫と過信しないということを考えさせられました。

 

追記:今回のトラブルでスルガ銀行は金融庁から行政処分を受けることになりました。

金融庁のウェブサイトによると

銀行法第26条第1項に基づく命令
(1)平成30年10月12日(金)から平成31年4月12日(金)までの間、新規の投資用不動産融資を停止すること。
 また、自らの居住に当てる部分が建物全体の50%を下回る新規の住宅ローンについても同様に停止すること。 ・・

処分の理由 ・・チャネルが、当行の融資審査を通すために、(ⅰ)自己資金のない債務者の預金通帳の残高の改ざん、(ⅱ)債務者の口座へ所要自己資金の振り込み(見せ金)、(ⅲ)一定の年収基準を満たすよう債務者の所得確認資料の改ざん、(ⅳ)売買契約書を二重に作成、等を実施している。
 当行では、投資用不動産融資を扱う相当数の営業職員が、チャネルによる上記の不正行為を明確に認識、もしくは少なくとも相当の疑いを持ちながら業務を行っていた。

スルガ銀行株式会社に対する行政処分について

 

と書かれています。

このなかのチャンネルとは不動産業者のことで、スマートディズのことだと思われます。

いずれにしても利益至上主義ともいえるビジネスの散々な結末を迎えたことになります。

 

追記:実際のところサブリース会社が破産すると、物件オーナーの収入もなくなります。

そのてんについては以下の記事をご覧ください。

サブリース契約でない形態でのアパートマンション経営の場合は、管理会社によって物件管理が行われていても、入居者さんが支払う家賃はオーナーに支払われるものです。

というか入居者さんの家賃はオーナーのものなので、オーナーに支払われなければなりません。

オーナーさんの銀行口座に直接、家賃を振り込んだり、オーナーさんの家が近ければ、オーナーさん宅に家賃を持っていくということもあるかもしれません。

管理会社は家賃から5~10%の手数料を徴収しますが、しかし残りの家賃はオーナーさんに支払わなければなりません。

しかしサブリース契約によるアパートマンション経営となると、事情が多少異なってきます。

入居者さんは家賃や共益費をすべてサブリース会社に支払わなければなりません。

つまりは入居者さんの支払うお金は、とりあえずはサブリース会社のものになり、そして指定日にまとめてオーナーさんに支払われることになります。

例えば大東建託の場合は27日にオーナーさんに決められた賃料が支払われます。

ところでサブリースの怖いてんの1つはサブリース会社の経営が危なくなってきた時です。

このような時に、サブリース会社から支払われる賃料が、大きく減額されるか、さらに深刻なのは支払われなくなることもあります。

以前に書いた記事

サブリーズ会社が破綻したらどうなる

でも書きましたが、現実にそのような事例が生じています。

サブリース契約の場合、管理会社を替えるのが容易でない場合がある。

当然のことですが、このような場合は一刻も速く管理会社を他に替えようと思うことでしょう。

ただ、そうするためには、これまで契約している管理会社とのサブリース契約を解除する必要があります。

しかしサブリース契約の解除というのは、そう簡単にできない場合があります。(サブリース会社によって対応は異なると思われます。)

最悪の場合、管理会社を替えたいものの、替えれない。

しかも賃料も支払らわれないといった状態が、しばらく続くかもしれません。

さらに解約の道が開かれても、サブリース会社からの解約のための書類を注意深く精査しなければ、オーナーになんらかの損失が生じる内容となっているかもしれません。(このてんに詳しい弁護士さんに内容を検討してもらうことができるかもしれません)

いずれにしても契約しているサブリース会社が経営危機に陥ると、そのとばっちりを受けるのはオーナーさんです。

もちろん大手のサブリース会社でそのような事柄が生じる可能性はあまりないかもしれませんが、しかし万が一のためにも、普段から契約している会社の業績などに関心を向けるのは良いことだと思います。



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