人口減少時代 それでも賃貸住宅会社が強気なのはなぜ?
少子時代になり、いよいよ人口減少が始まりました。
しかし全国的には人口は減少しても都市部については、もうしばらく微増状態が続くようです。
例えば東京都は人口のピークが2025年で1398万人に達すると発表しました。
従来の予想は2020年だったようですが5年ずれたことになります。
そして2015年の東京都の人口が1352万人なので、10年で46万人ほど増えることになります。
46万人といえば兵庫県の尼崎市の人口に匹敵します。
増加率は3%ですが、それでも人の集まるところには集まるものです。
東京がそのような状態ならば、他の都市でも同じような傾向が見られるのでしょうか。
大阪、名古屋、横浜、福岡、札幌でもしばらくは人口の微増状態が続くのかもしれません。
ところで人口の推移と世帯数の推移とはある程度は関連していても、別次元の事柄です。
というのも昔のように大家族が一緒に住んでいた時代は世帯数も少なかったわけですが、だんだんと一緒に住む家族の人数も少なくなり、単身者も増えている昨今、世帯数は当然、多くなってきます。
つまりは人口は減少に転じても、世帯数については当分は微増状態が続くというわけです。
そして住宅需要という視点からして重要なのは、人口の推移よりも世帯数の推移です。
つまりは人口が減っても世帯数が増加するならば住宅需要は良好ということになるのです。
ということは1人~2人程度の住居スペースのある賃貸住宅、分譲マンションは今後も需要が見込めるということになります。
実際のところ大東建託をはじめとする賃貸住宅会社は、今でもアパート需要について強気の見方をもっていますが、それは世帯数が当分は増加するという根拠に基づいた見方のようです。
筆者の所有物件のあるエリアにおいても積水ハウスや大和ハウスが積極的に賃貸住宅の建設を行っていますが、その多くは3LDKのファミリータイプ向けではなく1~2人を想定したアパートマンションです。
それらは全くのワンルームでなく、ワンルームよりも十分にゆとりのある造りになっており、家賃もワンルームマンションとファミリータイプのマンションの間ぐらいの家賃になっていますが、新築してからの入居状態は順調のようです。
ということはまだまだ住宅需要があり、入居者ニーズにあった物件ならば十分にやっていけるということなのでしょうか。
追記:世帯数の減少もいずれはおとずれる可能性があります。そのてんについては以下の記事をご覧ください。
人口と世帯数の減少。それはアパートオーナーにとって、あまり良い傾向ではありません。
住宅供給過剰が空き家の増大を招き、家賃収入の減少をもたらすからです。
人口と世帯数の減少は地方だけではない。
人口と世帯数の減少は現在、地方ですすんでおり、地方のアパートマンションオーナーの皆様は本当に気苦労が多いものだと思われます。
しかし今後、近い将来、都心、都会においても人口と世帯数の減少が生じていくと推測されています。
2016年3月19日ZAKZAKに住宅ジャーナリスト榊 敦司氏の記事がのせられていましたが、
東京都は2020年から人口が減少する。2030年からは世帯数も減少を始める。世帯数とはすなわち住宅ニーズだ。今でも、東京都全体で住宅の約11%が空家になっている。しかし、マンションを始めとした新築住宅は毎年増えている。この先、どうなるのか。
と書かれています。
このように東京でも人口減少が始まり、14年後の2030年には世帯数が減少する。つまり世帯数が減少するということは、住宅供給過剰がすすみ、さらに空き家が増大し、家賃やマンションの資産価値が下がっていくことを意味しています。
対策はないのでしょうか。
実のところ、政府や自治体も空き家問題については、承知しており対策のために動き出そうとしているようです。
民泊や公営住宅化などが、あげられます。
しかし
建設会社は住宅供給に強気姿勢。
こうした現状でも、建設会社は、特に都心部において住宅需要がまだまだあると見なし、新規物件の建設に強気姿勢を崩していません。
もちろん都心部においては、数年はまだまだ安泰かもしれませんが、全国的には空き家が増えており、さらに増大していくことは間違えないようがない事実で、いつまでも強気姿勢でいられるかは疑問です。
もちろん筆者の物件がお世話になっている大東建託も強気姿勢の建設会社の1つですが、最近、30年を超えた古くなった物件の建て替え等にも営業をかけているようです。