建物設計がずさんだと賃貸住宅経営は大変なことになる
数年以上前に大手不動産会社販売の分譲マンションの施工不良が、大きく取り上げられ社会問題となったことがあります。
このケースでは大手不動産会社販売ということで、安心して大きな買い物をしたオーナーさんも少なくなかったと思います。
ところでこのケースでは施工に問題があったものの、設計自体は適正に行われていたものと思われます。
ところで最初の設計段階がずさんだとすればどうなるのでしょうか。
実はこのような物件もあるようなのです。
楽待不動産投資新聞2018年2月16日には
「どう見ても設計の質が悪いと言わざるを得ない」
一般社団法人日本建築まちづくり適正支援機構代表理事の連(むらじ)健夫氏は、視察したあるオーナーの物件について「建物南側に窓がない」「玄関から台所が丸見え」「キッチン周りが狭すぎる」「居室のエアコン設置箇所が窓と重なっている」「共用廊下に自然光が入らない」など、利用者視点を欠いた設計上の問題点を列挙。さらに「天井裏に本来あるべき界壁(防火、防音)がない」・・などと指摘し、「通常ありえないレベルの安物設計だ」と切り捨てた。 別のコンサルタントは「はっきり言って上物はほぼ価値がないのと同然。この設計なら半分ぐらいの価格が妥当」と指摘。
と述べて、スマートディズ社が運営するシュアハウス「かぼちゃの馬車」の物件の設計について酷評です。
そして案の定、シュアハウス「かぼちゃの馬車」の入居状況は思わしくなく、運営会社も経営難に陥り、物件オーナーには賃借料が支払われないという深刻な事態が生じてしまいました。
つまりはスマートディズトラブルはそもそも設計の段階でつまずいていたというのです。
ではなぜ運営会社も物件オーナーも、また融資銀行も、ずさんな設計を見抜けなかったのかということになりますが・・。
もちろんビジネスモデル自体は合理的に思えたのかもしれません。
ところで、入居者からそっぽを向けられる物件の打開策はないのでしょうか。
もし行えるとするならば、リノベーションを行って入居者にとって魅力的な物件へと改築することなのかもしれませんが、リノベーションをするにもけっこうな費用がかかります。
いずれにしても最初の設計段階がずさんであると物件オーナーがその尻ぬぐいをしなければならないようです。
追記:設計の段階で、ずさんな場合は思い切ったリノベーションを行わなければならないということですが、ある程度の築年数が経っているならば、思い切って建て替えたほうが良いのかもしれません。
例えば、設計は適正だったとしても、それでも年月の経過とともに、当時では受け入れられた間取や設備等が、ほとんど人気のないもの、受け入れにくいものになっていて、空室が目立つようになる物件があります。
このような場合、築年数が25年以上経っている場合などで、思い切ってアパートやマンションを建て替えるオーナーさんもおられます。
つまりは、築年数が経っているならばリノベーションよりも建て替えたほうが良い場合もあるようです。
それにしても「かぼちゃの馬車」のシェアハウスは新築時から、疑問視されるような設計だったということですが、今から思うと、よくそのような設計で、公的な建築検査で承認されたものだと思います。
このてんでレオパレス21のケースの場合は設計自体には、問題があったわけではなく設計通りに施工が行われていなかったことに問題があったようです。
いずれにしても設計と施工、両方が適正に行われていないならば、のちのちオーナーが困ったことになります。
スポンサーリンク