介護のソラストは大東建託の息のかかった会社だった!!
1つの分野に強みがあって、事業を拡大させていわゆる大企業になった会社は少なくありません。
しかし時代の変化とともに、その強みのある分野の社会のニーズが減退してしまうと、以前のように事業から収益を得ることができなくなっていくことでしょう。
そこでこうしたリスクをヘッジするために様々な事業を手掛ける、つまりは多角経営に乗り出す会社も少なくありません。
例えば新聞業界でも、多くの新聞社が厳しい経営を強いられているなか、朝日新聞は比較的良好な状態にあると言われていますが、その要因となっているのは朝日新聞が新聞業だけでなく、近年都心部においてテナントビルなどのオーナーとなってテナント賃貸を行いそのテナント賃貸業が好調なのがその要因であると言われています。
このようなさなか、大東建託もおそらくは事業の多角化へと進みつつあるようです。
私もこれまでは知らなかったのですが、介護の会社でソラストという会社があります。
全国に数百ほどの事業拠点をもつ介護業界では名の知れた会社なのですが、その会社の筆頭株主が大東建託なんだそうです。
しかも大東建託はソラストの34%以上の株式を取得しているということなので、大東建託はソラストの株主総会での特別決議を要する議題(2/3以上の賛成が必要)に対する拒否権ができます。
ですから増減資や役員任免、合併など重要な議題はその大東建託が賛成しないと通りません。
つまりは大東建託は事実上ソラストの経営に大きな影響を及ぼすことができるのです。
しかもこのソラスト、介護事業だけでなく医療事務などの医療関連事業、そして保育事業にも取り組んでいる会社で、このような事業に携わる人材育成にも力を入れています。
そういえば大東建託も介護や保育の分野にも参入しています。
ということはソラストの介護や保育事業で培ってきたスキルやノウハウを大東建託も共有できるということなのかもしれません。
今後、大東建託がソラスト株の所有比率を50%程度まで引き上げるかのかどうかはわかりませんが、今後しばらくは成長の見込める介護や保育の分野で強化できることは間違いないでしょう。
主力の建設事業の将来が不透明なさなか、事業の多角化によって安定化を図ろうとしていることは大東オーナーにも幾らかの期待と安心感を与えるものとなっています。
追記:ソラストと大東建託が協業する事業もあります。 そのてんについては以下の記事をご覧ください。
ますます高齢者の人口に占める比率が高まっていくなか、サービス付き高齢者向け住宅が注目されています。
サ高住とも言われていますが、主に民間事業者が運営するバリアフリー対応の賃貸住宅のことのようです。
一般的な賃貸住宅の場合は高齢者の入居を渋る傾向がありますが、サ高住の場合は、条件をクリアすれば入居できるようです。
ところでサ高住はあくまでも賃貸住宅なので、要介護高齢者が多く入居する有料老人ホームと異なります。
つまりは主に自立(介護認定なし)した生活を送ることができる高齢者、あるいは軽度の要介護高齢者を受け入れる住宅ということです。
具体的には60歳以上の高齢者、あるいは要介護認定を受けた60歳未満の方を対象にしています。
そして配偶者等と同居することも可能です。
そして賃貸契約には更新はありません。
さらに高齢者向け住宅ですから日中は生活相談員が常駐し、入居者の安否確認や様々な生活支援サービスを受けることができます。
このように高齢者に優しい賃貸住宅ということですから、賃貸住宅最大手の大東建託もこの分野に参入しています。
ところでサ高住の場合は、一般の賃貸住宅と異なるのは高齢者向けサービスを提供しなければならないとうてんです。
この高齢者向けサービスを大東建託グループで提供するといっても、経験もノウハウもあまりありません。
そこで介護事業者と協業で行うという方法がありますが、2018年現在、介護業界での売上高9位のソラストと協業してこのサービスを提供するということが明らかになりました。
大東建託のニュースリリース2019年1月23日の「大東建託グループ、ソラストグループと初の協業 サービス付き高齢者向け住宅 『エルダーガーデン四條畷』 を4月1日オープン」には
大東建託株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:熊切直美)のグループ会社、大東建託パートナーズ株式会 社(本社:東京都港区、代表取締役社長:佐藤功次)と株式会社ソラスト(本社:東京都港区、代表取締役社長:石川泰 彦、以下「ソラスト」)は、 2019年4月1日(月)より、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)『エルダーガーデン四 條畷(しじょうなわて)』をオープンし、入居・介護サービスの提供を開始します。
kentaku.co.jp/corporate/pr/info/2019/aqehc4000000afea-att/eldergarden_sijounawate_0123.pdf
と報じました。
このサ高住の場合は、不動産関連の事柄は、すべて大東建託グループが行い、高齢者向けサービスの部分がソラストが行うというもののようです。
そしてサ高住分野での賃貸拡充をもくろむ大東建託と介護事業分野のエリア拡大や売上高の向上を目指すソラストととが協業し、今後さらに双方が協業したサ高住が増えるのではないかと思われます。
ところでサ高住のオーナーは誰がするの?といった疑問もありますが、将来的には大東オーナーにもその機会が開かれるかもしれません。
追記:サービス付き高齢者向け住宅の入居条件ですが、60歳以上であることです。
または要介護者・要支援者であることです。
入居が可能な介護レベルは、介護不要から軽度の介護が必要な高齢者までが対象です。
しかし施設によっては、「認知症を患っていない」「身の回りのことが自分でできる」などの条件を設定しているところがあります。
メリットとしては、バリアフリーが充実しており、しかも自由度の高い住居といえるでしょう。
また親族としても、親の安否を確かめやすいことでしょう。
その一方でデメリットとしては、入居後に介護レベルが高くなった場合は住み続けることが難しく、退去を求められる可能性があります。
となると転居先を考えなければなりません。
また医療、介護については基本的にはサ高住ではなく、介護施設になります。