賃貸住宅 郊外の大学キャンパスに依存した経営にはリスクがある

兵庫県の西宮市には、関西の私学の雄、関西学院大学があります。

最寄駅は阪急の甲東園駅が最も近いと思われますが、大きな大学で、しかも全国から学生が集まってきますから、賃貸住宅需要もあるものと思われます。

西宮市のあのエリアは、やや高級住宅街といった感じもあってか全体的な家賃は高めですが、しかし築古で家賃がリーズナブルな賃貸住宅でしたら学生が賃貸しているということもあるでしょう。

しかも近年は少子化の影響か親も子供のために惜しまずにお金をかけることもあるようなので、やや家賃が高くても親が惜しまず支援してくれることも珍しくないようです。

そのことも影響してか西宮市の空室率は14%程度で、比較的良好な状態です。

ところで大きな大学のあるエリア=賃貸住宅需要ともいえますが、注意すべき事柄があります。

それは大学キャンパスの移転です。

この移転は、大学が決める事柄であり大学が周辺エリアへの影響を考慮してくれるということはありません。

あくまでも大学の経営上の理由で事が決まります。

ですから大学が移転するということが決まってしまうと、それまでは学生の賃貸に依存してきた賃貸住宅経営は大きな影響を受けることになります。

レオパレス21管理のアパート。

しかもそのような事柄が生じることは、これまでもしばしばあったようです。

そして今後も生じえる事柄であり、近い将来の移転が決まっている事例もあります。

例えば具体例としては

中央大学 多摩キャンパスから2023年に文京区の新しいキャンパスに、2024年に後楽園のキャンパスに約6000人

東京理科大学 野田キャンパスから2025年に葛飾区のキャンパスに 長万部のキャンパスから葛飾区のキャンパスに約1700人

文教大学 茅ヶ崎のキャンパスから2021年に足立区のキャンパスに約1600人

武蔵野大学 武蔵野キャンパスから2020年に有明のキャンパスに約1000人

東洋大学 朝霞キャンパスから2021年に赤羽台キャンパスに約600人

といったことが明らかになっています。

このように傾向としては郊外のキャンパスが都心への移転といったことが顕著になっているようで、ますます都心への一極集中が大学などの教育機関でも進んでいるようです。

いずれにしても郊外の大学依存の賃貸住宅経営にはリスクが伴います。

 

追記:この大学の都心回帰の動きですが、ウィキペディアには

当初、郊外型キャンパスは欧米の大学町のイメージもあいまって「空気が綺麗」「キャンパスが広い」「自然が多い」と受験生に評判がよく、文化講座などによってその地域へ大学の知を還元することができるとマスメディアでも大変に評判が高かった。また、鉄道会社にとっても都心への通勤ラッシュとは逆の郊外への朝の大量通学輸送が期待できるメリットがあった。
しかしバブル経済が崩壊し都心の地価が下がったことに加え、少子化で受験競争が緩和された受験生の選別意識が高まり郊外キャンパスが敬遠されるようになった。

都心回帰

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/都心回帰#大学の都心回帰(アクセス日2020/4/20)

と書かれています。

いずれにしても学生依存の賃貸住宅経営には、大学が移転してしまった場合のリスクがあります。

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