アパート経営の一括借り上げトラブル 減額されることを知らなかった?
以前のことですが関東在住の叔父から心配のあまり「アパート経営は大丈夫なのか」と尋ねられました。
なんで、こんなことを聞いてくるのだろうと思ったら、2016年8月11日の朝日新聞の記事に
「家賃保証」トラブル急増
という見出しの記事があるというのです。
筆者は朝日新聞をとっていないので知らなかったのですが、早速取り寄せて読んでみました。
なるほどなあと思いました。
実は筆者も父からの相続ですが、大東建託との一括借上げ契約をしているアパートオーナーなので書いていることの意味はよくわかります。
まず見出しの横には
アパート経営 減額リスク説明なし
と書かれています。
たしかに一部のメーカーはとにかく契約をとるために減額リスクについては何も説明しないところがあるのかもしれません。
ただ亡くなった父の話では、大東建託と一括借上げ契約をするさいに、支払われる賃料が経年劣化とともに減額されることがあるとの説明は受けていたようです。(10年以上前の話です)
また、周期的に大規模改修工事を行う必要があり、そのさいには、かなりの出費が求められるので、そのための費用も家賃収入の幾らかから蓄えておくと良いとの説明も受けていました。
いずれも契約する前のことのようです。
たまたま大東建託のなかでもいい営業マンに当たったからだったのかもしれません。(その方、今は支店長をやっています)
ですから朝日新聞が言っている減額リスクの説明なしということは、すべての業者でなく一部の業者のことを指しています。
しかしそれにしても一括借上げ契約をしてみたものの当初の賃料が契約期間ずっと支払われるものだと勘違いした方も少なくないと思われます。
経験のあるアパートオーナーならば、新築時から家賃が経年劣化とともに下がっていくというのは、承知していることなのですが、アパート経営の素人にはわかっていなかった事でしょう。
それで一括借上げ業者の営業マンの甘い勧誘についのってしまって契約してしまい後で、後悔することになってしまったのかもしれません。
国土交通省は今後、家賃の減額リスクの説明を義務づける制度改正を行うようですが、それですべてが解決するわけでもないようにも思います。
追記:大東建託の一括借り上げの場合は、多くの場合、居住部分の場合は最初の10年は賃料が一定で、10年後に賃料改定が行われます。
その後は5年毎に賃料改定が行われ、多くの場合は、賃料改定でオーナーに支払われる賃料は減額となります。テナント賃貸は当初から3年毎に賃料改定が行われます。
ところで賃料が下がるのは、経年劣化の影響もありますが、さらに設備や間取りも、古めかしくなっていくことも要因にあるようです。
もちろんまれにですが、10年後に居住部分の査定家賃が上昇し、借上賃料が上がるということもあります。
しかしそのような事柄はほとんど、期待しないほうがよいでしょう。
例え都心部の入居者需要が旺盛なエリアでも、やはり経年劣化による、家賃の下落は生じていきます。
賃貸住宅内の設備も古い型のままだと、新しい賃貸住宅の最新の設備には太刀打ちできません。
とりわけ入居者需要な旺盛なエリアでも、競合物件が多くあるならば、家賃は下落圧力がかかってきます。
その一方で空室リスクがあるものの、テナント賃貸は住居部分よりも、経年劣化による家賃の下落は限定的な場合があります。
それでテナント需要のあるエリアであるならば、1階部分はテナントにするという方法もあります。
住居部分の家賃は下がっていっても、テナント賃料のほうは、安定しているということもあります。