住宅ローンを完済しても建物修繕工事の費用負担は重くなっていく
持ち家派と賃貸派。
どちらがいいのかについての議論は絶えませんが、持ち家派(分譲マンション購入も含む)のメリットは住宅ローン完済後は住居費を抑えることができるというものです。
そのことはよく聞きます。
しかし現実はどうなのでしょうか。
まず戸建住宅についてですが、30~35歳の時に、35年の住宅ローンを組んでマイホームを購入したとします。
すると住宅ローン完済時は60~65歳で、仕事も定年退職し、仕事を継続しているとしても非常勤のような形態の雇用で、収入も激減していることでしょう。
そしてその後は年金生活へと移行していくわけですが、確かにこの時点で、住宅ローンの返済は完了しており、支出面では改善されているかもしれません。
しかしマイホームも35年目を迎えるとなると、大規模なリフォームが必要となってくるかもしれません。
15年~20年ぐらいで1回目も大規模修繕工事を行ったかもしれませんが、2回目の工事となると1回目以上に費用がかかります。
例えば給排水設備の交換などが求められるかもしれないからです。
収入といえば、現役で働いてた時代は、働き次第で収入アップを計れたかもしれませんが、60歳を超えるとそういういうわけにはいきません。
となるとリフォーム工事費用は、リフォームローンを組んで調達しなければならないかもしれません。
このことはマンション購入でも同じです。
ただしマンションの場合は、修繕のための費用を、修繕積立金という仕方で、毎月支出していきます。
ですから戸建住宅のように、いきなり数百万円単位で、修繕支出が求められるようになるというわけではありません。
しかし修繕積立金は新築当初は1万円前後だったのが、マンションの築年数の経過とともに上昇する傾向にあります。
なかにはマンションの理事会としては修繕積立金を値上げしたくても住民の賛同が得られなくて十分な修繕が行われないがために建物の劣化が進行しているマンションもあります。
さらにマンションが35年を経過すると、マンション建て替えの話もでてくるかもしれませんが、そうなると区分所有者に相当の費用負担が生じます。
このように住宅ローン完済後の住居費の軽減はある程度真実ですが、しかし建物の老朽化に伴う費用負担が生じはじめる時期でもあるのです。
ですからローン完済後は必ずしも家計のやりくりが楽になるというわけではありません。
不動産の修繕積立金とは?気になる相場や会計処理の基礎知識|三井のリハウス (rehouse.co.jp)