国内賃貸住宅最大手の大東建託グループの海外事業
賃貸住宅管理戸数100万戸で、この分野で業界トップの大東建託のライバルといえば、大和ハウス工業や積水ハウスの名がよくあがります。
賃貸住宅分野だけならば大和ハウスや積水ハウスを大きく引き離している大東建託も戸建住宅や分譲マンションの分野となると、大和ハウスや積水ハウスの足元にも及びません。
さらに両社は海外事業にも積極的に取り組んでいます。
戸建住宅、分譲マンション、賃貸住宅、海外事業とまんべんなく取り組んでいる大和ハウス工業や積水ハウスの安定力には大東建託には及ぼないところですが、知らなかったのですが、大東建託も海外事業にある程度、取り組んでいることを最近知りました。
M&A Times2017年11月16日の「大東建託、マレーシアのホテル事業会社を約137億円で買収 海外事業強化」という記事には
節税対策で賃貸住宅建設をを地主に提案している大東建託【1878】および連結子会社であるDaito Asia Development Pte. Ltd.は、マレーシアでホテル事業を展開しているDaisho Asia Development (M) Sdn. Bhd.の発行済み全株式を取得し、連結孫会社化すると発表した。取得価格は、約137億円。
大東建託、マレーシアのホテル事業会社を約137億円で買収 海外事業強化|M&A ニュース速報 | M&A タイムス (ma-times.jp)
と報じました。
この記事からすると大東建託が東南アジアで連結子会社を所有していることがわかりました。
この買収に意義について同誌は
大東建託の孫会社であるDaito Asia Development (Malaysia)Sdn. Bhd.はマレーシアのクアラルンプール市においてルメリディアンが運営するホテル事業を経営している。一方、今回株式を取得するDaisho Asia Development (M) Sdn. Bhd.は、ルメリディアンホテルに隣接しているヒルトンインターナショナルが運営するホテル事業を経営。ルメリディアンホテルとヒルトンホテルは隣接しており、大東建託グループが両ホテルを所有することにより、 共同受注による集客力強化や更なるコストダウンを図ることが可能となり、シナジーが十分に見込めると判断、今回の買収に至った。
と述べています。
このように隣接する両ホテルの所有により集客力強化だけでなく、両ホテルのコストダウンを図ることによって、一層の収益力が得られるとの見通しから買収に動いたようです。
この結果、主力の建設不動産事業に加えて主力事業を補足するかのような「介護・保育事業」そして「海外事業」の強化につながる見込みです。
新規のアパート建設の将来が不透明になっていくなか、補足事業がどれだけ落ち込む可能性の主力事業を補えるか注目です。
追記:大東建託が過去に中国の上海でマンション経営を行っていたようです。
今はそのマンションを売却したようですが。
いずれにしても海外事業に大東建託が昔から注目していたのは事実のようです。
この面では積水ハウスや大和ハウス工業には遅れを取っていますし、レオパレス21も東南アジアで事業を行っています。
それで同業他社よりも海外事業では後進のようです。
もちろん海外事業には大きな可能性がある反面、大きなリスクもあります。
とりわけアメリカやイギリスやドイツといった先進国の場合は、比較的安定しているかもしれませんが、需要という面では日本とあまり変わらないかもしれません。
その一方で、発展途上国となると、需要は旺盛ですが、政治的なリスクを含め大きなリスクが潜在しています。
大和ハウス工業が、中国の子会社で、現地社員による巨額着服事件の被害に遭いましたが、こういったことも海外では起こり得るのです。
とりあえずは発展途上国では比較的安全と思われるマレーシアのホテル事業を大東建託は強化していますが、今後の進展に注目していきたいと思います。
ちなみに中国上海のマンション事業からは撤退しましたが、不採算事業から撤退する決断を下せるのも強い企業の証ではないかと思われます。