サブリースによる賃貸住宅経営の問題点を朝日新聞が警鐘を鳴らしていた
「象とアリ」という言葉ありますが、象とは建設会社、アリは大家のことです。
つまり建設会社も大家も事業者でありながら、不動産の知識、経験、ノウハウ等になれば象とアリほどの差があり、到底対等に協議し、契約することには無理があるように思われます。
このてんで事業者と消費者の関係であれば、消費者契約法があり、事業者が故意に不利益な情報を隠していることが明らかであれば、契約を取り消すことができるなど消費者を保護するための法律がありますが、事業者と事業者の関係であるならば、そういうわけにはいかないのです。
つまり象がアリを踏み潰すように、無知な大家が建設会社に振り回されたあげくに気がつけば潰されていたということもあり得るのです。
ところで過去の新聞記事ですが朝日新聞2016年8月11日の『「家賃保証」トラブル急増』という記事はとてもインパクトのある記事で、この当時はサブリースや一括借り上げによる賃貸住宅経営のリスクがなかなか見えてこないなか、サブリースの問題を的確に示していたというてんで、とても意義のある記事だったのではないかと思います。
そして明確にされた問題点は
- 建設会社からの減額リスクの説明がなかった。
- 建設会社からの将来、賃料増額の示唆があったにもかかわらず、増額はなくむしろ減額させられた。
- 建設会社側からの一方的な契約解除。
- 詐欺まがいの建設会社の営業。
- 事業者同士の契約といっても大家の側は不動産についてはあまりにも知識も経験もない。
といった問題が浮き彫りになってきます。
これらの問題点すべてが解消されればよいのですが、実際のところ容易ではないようです。
国土交通省も、問題点には気づいており、何らかの規制をかけてはきましたが、大家サイドからの要望としては、大家が過度の不利益や損失を被ることがないようさらに
・建設会社側の都合による一方的な契約解除の禁止
・減額は仕方ないにしても、減額幅に制限を設けること
・大規模修繕工事においても建設会社の提案を大家が拒否しても、建設会社は賃料を減額することなく支払う義務を負う
ことなどの規制を設けてほしいものです。
ところで筆者個人としては朝日新聞はあまり好きではありませんでしたが、今回の記事についてはおおいに評価しています。
実際のところ一括借上契約の問題点を十分に認識しないで、契約している大家さんは相当おられるのではないかと思います。
土地活用でアパート経営を考えていても、朝日新聞の記事を読んで、思いとどまった方もあられると思いますし、記事を読んで震え上がった大家さんもおられたことでしょう。
建設会社側も、これまでの商法に修正を加えなければならないと感じるならばよいことだと思います。
また朝日新聞だけでなく他の新聞社もこの問題について建設会社への配慮から控えることなく率直に問題点を指摘する記事を書いてほしいものです。
賃貸住宅管理業法ポータルサイト – 国土交通省 (mlit.go.jp)