一括借り上げによる賃貸住宅経営で成功の鍵を握るのは入居率?
近年はアパート建設の横ばいか微減状態が続いています。
以前のアパートバブルのような建設ラッシュは相続税法改正後に、相続税対策ということで、一括借り上げ業者が地主さんに積極的にアパート建設を売り込み、その話に乗ってきた地主さんが多かったということが要因ですが、地主さんも実際のところアパート経営については素人です。
結果として相続税対策には成功しても、その後のアパート経営では思わぬリスクに悩まされている方も少なくないことも広く知られるようになってきました。
この一括借り上げの問題については、近年になって様々な点が指摘されていますが、結局のところ次のてんをクリアしているかどうかが最大のポイントではないかと思われます。
それは入居率です。
2018年になってクローズアップされているサブリース会社のスマートディズと物件オーナーとのトラブルも、運営しているシュアハウスの入居率がかなり悪いがゆえに、物件オーナーへの賃料が支払われなくなるという深刻な事態が生じています。
大東建託がオーナーのための相談窓口を設置 適正な管理を行ってもらうため?
2020年12月15日に、賃貸住宅の管理業務等の適正化を図るための新たな法律が施行されたようです。
事細かな内容はわかりませんが、近年、サブリースによる賃貸住宅経営が増大し、それに伴うトラブルや問題も浮き彫りになり、それに対処するためのもののようです。
そういえば最近、大東建託パートナーズの営業所が丸一日、一斉休業を行いましたが、なぜだろうと思いましたが、ひょっとすると今回の出来事に社員を備えさせるための研修が行われたのかもしれません。
そして大東建託グループでは、そのことに関してオーナーのための通報、相談窓口を設置したようです。
このてんについて大東建託のニュースリリース2020/12/14には
「サブリース新法 外部通報窓口」の設置について利用対象:
・当社グループ、および当社グループに係る勧誘者からサブリースに係る勧誘を受けたオーナー様とそのご家族様
・当社グループと特定賃貸借契約を締結したオーナー様とそのご家族様
通報方法:
・以下、いずれかの窓口をご利用ください
1) 問い合わせフォーム (特設サイト)
2) 専用電話 0120-1673-43 お客様サービス室 サブリース新法担当者宛
受付時間/午前10:00~午後5:00 ※土日・祝日・夏季・年末年始休業日除く
3) 専用メール (cs@kentaku.co.jp)
4) 郵送 (特設サイトの専用用紙にご記入のうえ、ご郵送ください)
〒108-8211 東京都港区港南2-16-1
大東建託株式会社 サブリース新法 外部通報窓口係
建設会社の経営難でアパート大家に賃料が支払われなくなった事例
最近はサブリースでアパートマンション経営を行う方が多くなってきました。
代表的なサブリース会社としては、大東建託、レオパレス21、旭化成などがありますが、積水ハウスや大和ハウス工業も一括借り上げを行っています。
これらの会社が破綻することは現時点では考えにくいことですが、もしも破綻すればどうなるのでしょうか。
実は現在でも中小のサブリース会社が破綻するということは生じているようです。
その事例は、スマートデイズという会社で生じた事柄で、首都圏を中心に女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営している会社です。
そのビジネスモデルは物件オーナーを見つけ建築から管理運営まで請け負う「サブリース」を行い、物件オーナーには賃料を支払っていくものです。
その会社に何が生じたかについてとう東京商工リサーチ2018年1月22日の「かぼちゃの馬車」運営のスマートデイズ、物件オーナーへの支払いが困難にの記事には
スマートデイズは、2012年8月に設立。首都圏を中心に女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営している。物件オーナーを見つけ建築から管理運営まで請け負う「サブリース」で業績を伸ばし、2013年7月期の売上高4億4,502万円が、2017年3月期(2016年に決算期変更)は316億9,664万円へ急拡大していた。ところが、2017年10月に突然、物件オーナーに賃料減額を通知。1月17日と20日に開催した説明会で1月以降の賃料支払いが難しいことを明らかにした。
引用元 http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20180122_01.html(アクセス日2018年3月8日)
と報じました。
大東建託のフルパッケージプランのデメリットとは?
近年では大東オーナーの多くがフルパッケージプランで契約しています。
このてんについては先回の記事
で書いたとおりです。
大東建託と35年契約を行って毎月、家賃収入の5%を大東建託に支払うならば30年間は修繕費はすべて大東建託側が負担するというものですから、オーナーさんにしてみれば魅力的なプランに思えることでしょう。
とにかく最初の30年間は修繕費用のことで煩うことはないのですから、魅力的です。
しかしデメリットがないわけではありません。
その1つが
オーナー側から大東建託との契約を解約しにくくなる
といてんがあります。
実は30年、35年一括借り上げといってもオーナー側の意向で大東建託と契約を解約することができるのです。
しかしフルパッケージプランであるならば、修繕費用をおそらくはオーナーさん自身が取り分けていないことでしょう。
そうなると解約してしまうと、今後生じえる修繕に対応しにくくなるのです。
ということで解約しづらくなるといわけですが、もちろん少なくとも30年間は大東建託と付き合うつもりならばフルパッケージプランを選んでもかまわないのかもしれません。
一括借り上げによる賃貸住宅経営の弱点ともいえる事柄とは?
以前の記事では小規模マンションオーナーとサブリース契約(一括借り上げ)のメリットとデメリットについて書いたことがあります。
デメリットのその1までを書きましたが、今回は続編をかきたいと思います。
ところで銀行の視点からはサブリース契約がどう評価しているかについてですが、銀行サイドとしては、サブリース契約をしているアパートマンションオーナーさんのほうが融資をしやすいというのは事実のようです。
なぜならば毎月、安定した家賃収入が入ってきて、将来の収支の見通しもある程度、把握しやすいからだと思われます。
しかし
サブリース契約のデメリットですが大規模改修工事はサブリース会社主導で行われます。
10年~20年の間で大規模改修工事がおこなわれますが、いつ行うか、何を行うか、業者の選定すべてがサブリース会社によって決められ行われます。
もしの提案を受け入れない場合は、サブリース契約を解除させられることもあるかもしれません。
よってオーナー側は受け入れざるを得なくなります。
この大規模改修工事、不動産や建設にある程度の人脈や知識のあるオーナーさんでしたら、自分で行う時期、業者の選定等を行うことができ費用も軽減することができますが、サブリース契約の場合はどうしてもメーカー側が提示した費用で合意するしかありません。(大東建託などでは他社に行ってもらうことを許容してもらえることもあるようです)
サブリースで多くの大家さんがローン地獄になるって本当?
以前のことですがNHKのBS放送で、レオパレス21でアパートを建てたオーナーさんが、大変な状況になってしまったことを取材した番組が放送されました。
番組名は「あなたのアパートは大丈夫?~岐路に立つ投資用不動産ビジネス」というものなんだそうですが、こういった番組でNHKが問題の企業名を明らかにするのは珍しいそうで、それだけに番組のなかで、レオパレス21の企業名を明らかにしていたということで注目されています。
ところでこの番組を見た週刊誌の記者がレオパレス21のようなサブリース会社についてエキサイトニュースのなかでコメントを述べています。
そのコメントを読んでみて思ったことは、確かにこの記者はサブリースについて知っているようですが、多少正確でない部分もあるようにも感じたので、そのてんについて今回は取り上げてみたいと思います。
ところでこのエキサイトニュースは20/3/25の「NHKに名指しで告発されたレオパレス、明らかになった“悪質営業”の手口とは?」という記事ですが、このなかで
業者はアパートの建設費を割高に設定して、そこで儲けを確保しており、あとに残るのは入居者のいないアパートとオーナーの借金だけです
NHKに名指しで告発されたレオパレス、明らかになった“悪質営業”の手口とは? (2020年3月25日) – エキサイトニュース (excite.co.jp)
と書かれています。
悲報 消費増税ならば借上賃料減額になることがある
以前のことですが、所有物件の電気のことで不明な事柄があったので、管理会社の大東建託パートナーズのオーナー専用の電話に電話をかけてみました。
すると女性の受付スタッフのような方が出てこられて、そして用件を聞かれた後に、所有物件の担当者に交代してくれました。
そして担当者が明日の昼頃に見にこられるとのこと。
そして予定通りに来てくださり、見てもらい、電気の件はすぐに解決しましたが、その後、大東建託パートナーズの担当者が「消費増税が予定されていますが、予定通り実施された場合は、オーナーさんに支払われる借上賃料が多少減ることになるんですが・・」
と話を切り出しました。
えー、消費税増税とともに借上賃料が上がるのではなく下がる?
どういうことと思いましたがどうやら消費増税とともに借上支払料率が変更になるというのです。
例えば具体的には居住用の場合は30年、35年一括借り上げの場合
フルパッケージプラン 84.7→84.5
スタンダードプラン 89.85→89.75
といった具合に変更になります。
その一方で事業用(テナント)の場合は30年.35年一括借り上げの場合
フルパッケージプラン 85→85
スタンダードプラン 88→88
というふうに変更はありません。
大東建託の一括借上 オーナーは本当に楽だけどしかし・・
最近は一括借上げで(サブリース契約)アパートマンション事業を行っている方が多いそうです。
確かにこの方法ならば、空室の心配がさほどない、毎月定額の賃料が入るなどアパートマンションオーナーはほとんど何かを行うこともありません。
筆者の物件も大東建託パートナーズの管理のもと一括借上げ物件で、長年になりますが、本当にオーナーとして何も行うことがないのです。
心配のことといえば、家賃はどうしても下がってきますので、定額の賃料の見直しで下げられることと、建物の修繕工事費の心配ぐらいでしょう。
しかしこのままでいいのかといつも思います。
もちろん不動産業の初心者だとか、仕事がとても忙しくて不動産にはあまり注意を向けられないという方には一括借上げ契約は向いているように思います。
しかしこのままだとアパート事業者としてのスキルがなかなか身につきませんし、素人のアパート事業者のままで過ごしてしまうことになります。
もし一括借上げ契約を解約させられたらどうなる?
のでしょうか。
もちろんよほどの事がなければそうなることはありませんが、一括借上げ業者も不適当なオーナーとの契約を解約することができるのです。
解約されるとスキルのないアパート事業者ではとても大変なことです。
ではどうすることができるでしょうか。
賃貸住宅経営 サブリースリスクが炎上 しかしそれでも儲かる!!
2019年2月に発覚したレオパレス21の施工不良問題で、レオパレス21そしてサブリース業界そのものも揺さぶられてきました。
そもそも最近の賃貸住宅経営の主流はサブリースですが、今回のレオパレス21のトラブルから、サブリースは怖いといったインパクトを与えているようにも思いますので、レオパレス21と同じようにサブリースが主流の大東建託や東建コーポレーションにも逆風が吹いていたと思われます。
そして賃貸住宅経営の王道、つまりはサブリースでない方法での賃貸住宅経営が見直されているのではないかと思われます。
ところでこの機会にサブリースのリスクというか、注意すべき事柄を押さえておきたいと思いますが、その1つが新築から賃料免除期間というものがあります。
多くの場合は3カ月程度ですが、新築からの3カ月間はオーナーへの賃料の支払いはないのです。
サブリース会社にしてみれば、この3カ月で満室にしたいのかもしれませんが。
もちろんサブリースでなければ、新築当初から入居者がいるならば、その分の賃料は入ってきます。
といってもサブリースのように空室分の賃料はありません。
賃貸住宅のサブリース経営相談センターという団体があった👍
近年はサブリース契約でアパートマンション経営を行うケースが増えてきたように思います。
とにかくサブリース契約のメリットは空室が生じても、賃料が支払われるというてんにあります。
しかしサブリース契約によるアパートマンション経営が広まるにつれて、サブリース会社と家主との間で生じるトラブルも増えてきました。
といってもサブリース会社と家主が争っても、多くの場合、法律にも通じたサブリース会社のほうが有利に事が進んでいるように思われます。
このような状況のなかで、家主側に強力なバックアップとなるものが欲しいものですが最近
サブリース経営相談センター
という団体が存在していることを知りました。
このサブリース問題解決センターについて、ホームページの「サブリース問題解決センターとは」には
弁護士・司法書士・不動産鑑定士・一級建築士等で結成したサブリース問題専門家集団です。2010年から今までに500件近い相談を受け付けました。(運営母体NPO日本住宅性能検査協会及び(一社)日本不動産取引適性評価機構サブリース相談件数)
引用:https://sublease-solution.com/サービスプラン/
最終閲覧日2018/3/5
と説明されています。
そして運営団体はNPO法人 日本住宅性能検査協会と一般社団法人 日本不動産取引適正評価機構で、東京に事務所を置き、電話番号も明記されていますので、どうやらしっかりとした組織であるようです。