優越的地位の乱用😟と物件オーナー
最近、気になるニュースの1つとして、通販の巨大メーカーのアマゾンが、いわゆる取引先に「協力金を要求」したことで、公正取引委員会にマークされたというニュースです。
日本経済新聞2018年3月16日の「アマゾンの「優越性」どう判断 「協力金」要求か、公取委立ち入り ネット商慣行注視 」という記事には
公正取引委員会は15日、インターネット通販大手のアマゾンジャパン(東京・目黒)を独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで立ち入り検査した。自社サイトで販売する商品のメーカーに、値引き販売した額の一部を「協力金」として補填させた疑い。・・一方、取引先も悩ましい。もしアマゾンとの商談を不服に感じて取引をやめたら、みすみす商機を逃すことになる。「従うのが得策」という声も聞こえてくる。
引用:https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28175130V10C18A3EA2000/(アクセス日2018/4/12)
というものです。
ここでアマゾンが疑われているのが独占禁止法違反の優越的地位の乱用という事柄です。
たしかにアマゾンといえば巨大企業でありしかも通販においてのノウハウも蓄積されており取引先としてアマゾンの看板で商品を売るならば、効果的にビジネスを行うことができるとうメリットがある反面、取引を続けるためにはアマゾンの要求を呑まなければならないというデメリットがあります。
ところで物件オーナーがこのニュースに関心があるのは、賃貸住宅経営もそれとよく似ている部分があるからです。
物件オーナーといっても、弱小な事業者にすぎず、管理会社と組むことによって賃貸経営を行わなければなりません。
入居斡旋や建物の維持管理においては、管理会社がなくてはならないものとなります。
そこで大東建託のいい部屋ネット、積水ハウスのシャーメゾン、大和ハウスのd-roomといった看板があるならば入居率もそこそこ維持でき、賃貸住宅経営を行っていくことができるわけですが、これらの賃貸住宅の大手メーカーの要求には従わなければならないというデメリットもあります。
要求を拒否すれば、支払われる賃料の減額や、解約される可能性もなきにしもあらずです。
それでは他の管理会社に変えればということになりますが、それでも入居率を維持できるかといった不安や大手の会社の持つスケールメリットが享受できなくなるといったデメリットがあります。
例えていうならば、商品の販売をアマゾンから他の通販業社に変えてもこれまで通り売れるかという心配をかかえるのと同じような感じです。
もちろん商品の小売の場合は、しばしば優越的地位の乱用が指摘されることがありますが、賃貸住宅のケースでは今のところ、あまり聞いたことがありません。
しかし形のうえではよく似ているので、将来的には・・と考えてしまうこともあるのですが、どうなるのでしょうか。
追記:公正取引委員会のウエブサイトの「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方 」には
自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して,正常な商慣習に照らして
不当に,次のいずれかに該当する行為をすること。
イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロに
おいて同じ。)に対して,当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入
させること。
ロ 継続して取引する相手方に対して,自己のために金銭,役務その他の経済上の利
益を提供させること。
引用:https://www.jftc.go.jp/hourei_files/yuuetsutekichii.pdf(アクセス日2020/7/14)
と書かれています。
このように継続的な取引先に、不当な利益を提供させることが問題になるようです。