アパートオーナーがもはや殿様商売ができなくなっていく現実
昔は賃貸住宅数も現在のように多くなく、大家さんは強気の経営を行うことができた時代もありましたが、今の時代はそうではありません。
空室率が上昇するなか、入居者側もどのアパートに住むか、選別できる時代となり、魅力のないアパートは空室に悩まされるようになってきました。
例え入居需要があるとみなされているエリアであっても、競合物件があまりにも多くなるとパイの奪い合いの状態です。
こうしたなか、将来的にはさらに向かい合わなければならない、さらに直面しなければならない事柄があります。
その1つが人口減少です。
現実にすでに人口減少が始まっていますが、長期的に人口減少は継続していきます。
おそらくは2050年には1億人を割っていることでしょう。
2010年には1億3000万人だったのが2050年には約3000万人減少しているのです。
もちろん世帯数そのものは2018年現在は微増状態ですが、やがて世帯数も減少していくことが予測されています。
ということは、さらに空室率が上昇していく可能性が強くなっていくことでしょう。
ところでさらに直面するかもしれない衝撃の事実があります。
それは賃貸住宅の主要なターゲットは25歳~40歳といわれてきました。
お風呂とトイレそして洗面台が一体型のワンルームは苦戦する
同じ周辺エリアにおいても、あるアパートはほぼ満室状態を維持しているのに、あるアパートの入居率は50%前後といったことが生じることがあります。
そうなると満室状態を維持しているアパートは、周辺エリアの相場家賃よりも高い家賃を設定できるかもしれません。
一方で、空室だらけのアパートとなると相場家賃よりも下げなければならないでしょう。
どうしてこのような差が生じるのでしょうか。
ひとえに人気のないアパートには、設備面で敬遠される要素があることが考えられます。
その要素の1つは
お風呂とトイレの一体型のユニットバスです。
ユニットバス、ここでいうユニットバスとは周りの壁・天井・床が一体になっているお風呂と洗面台そしてトイレが同じ空間にあるものです。
ホテルなどでは、今でも、時々見かけますが、最近の新しいアパートでは、このような3点セットのユニットバスは、ほとんど見かけなくなりました。
というのも賃貸住宅において3点セットのユニットバスは人気がないのです。
というのか敬遠される傾向があります。
ですから昔からのワンルームマンションには3点セットのユニットバスが少なくないかもしれませんが、敬遠されるために家賃が安いといった傾向が見られるようです。
賃貸住宅供給過剰の時代 生き残るために何が行える?
小売業の巨人アメリカのウォルマートが西友を売却してしばらくが経ちます。
ウォルマートや西友もよく知られた名前ですが、西友をもってしても日本での事業は困難との判断からウォルマートは日本の事業から撤退したようです。
おそらくは競合スーパーとの、熾烈なシェア争いや、今後は日本の人口が減少し続けることなどから、撤退が適当と判断したのでしょう。
これは小売業の世界の話ですが、しかしこのことはアパート経営でも同じことが言えます。
というのもアパート急増による競合物件との、入居者獲得の争いは、ますます大変になっていきますし、世帯数いずれは減少へと転じていきます。
ですから賃貸住宅での勝ち組は1割と言われていますが、さらに1割どころか、勝ち組割合は、もっとごく少数になってしまう怖れがあります。

築年数を経た古いアパート。
このような時代におけるアパート経営の勝機はどこにあるのでしょうか?
その答えの1つか
人が着目していない部分に目をつける
というてんです。
例えば、日本では今後は外国人が増加し続けていくことが予想されます。
一般には外国人賃貸を嫌がるアパートオーナーさんも少なくないのですが、外国人賃貸を受け入れて、というか外国人に賃貸しても、十分にやっていけるようなスキームを取り入れて成功しているオーナーさんもおられるようです。
アパートやマンションの1階なぜ敬遠されるのか?対処策は?
筆者の物件の近くの周辺エリアに大東建託の新しいアパートが建ちました。
典型的な大東建託デザインのアパートですが、2階建てで1階が5戸、2階が5戸の10戸アパートです。
すでに入居が開始されていますが、入居が決まっているのは2階が4戸、そして1階1戸です。
家賃も2階のほうが数千円ほど高いのですが、それでも2階のほうが埋まってきています。
なぜか1階のほうが人気がないのです。
しかしこれはたまたまそうなったわけではありません。
全体的な傾向としてアパートマンションは住居については1階が人気がないといわれています。
おそらく家賃も1階は2階以上の部屋よりも安くなっていることでしょう。
そしてこれには様々な理由が考られます。
まず1階の場合、防犯的に不安があるというのがあります。
外壁で守られていても乗り越えられる可能性がありますし、常にカーテンで中が見えないようにしておかなければならないといてんもあることでしょう。
また洗濯物も干しにくい、布団を干しにくいということもあるでしょう。
そして窓を開けて風通しをよくすることができないこともあります。
さらに2階の足音などの騒音が嫌だという方もおられることでしょう。
こうした理由で1階は敬遠されるように思います。
同じ町内にあるアパートで入居率が二極化しているなぜ?
最近は筆者の所有マンションのある周辺エリアにおいても、空室が目立つアパートマンションが増えてきたようです。
築年数でも20年も超えれば、外見はきれいなマンションでも、その他の魅力があまりなければ敬遠されることも少なくないようです。
ところでその一方で築年数がけっこうな年数でもほぼ満室状態を維持しているアパートマンションもあります。
どうしてこのような差が生じてきたのでしょうか。
このような同じエリア内でも空室の目立つアパートマンションと、ほぼ満室状態を維持しているアパートマンションの現象を
二極化と呼ぶ方もおられます。
ではどうすれば、ほぼ満室状態維持し続けるグループのアパートマンションとして経営していくことができるのでしょうか。
それにはアパートオーナーと管理会社の双方に努力が求められます。
どのような努力でしょうか。
1つには周辺エリアの物件をよく観察してみることです。
例えば、そのエリアではワンルームや単身者向けアパートやマンションは空室があまりなくても、ファミリー向け賃貸住宅では、空室が目立つているでしょうか。
ということはこのエリアにおいては、単身者向け物件の需要が大きいということがわかります。
賃貸住宅経営の最大のリスクが空室にあると言われる理由とは?
賃貸住宅経営において最大のリスクは空室だと言われています。
ではそもそも空室がなぜ賃貸住宅経営における最大のリスクになるのでしょうか。
幾つかの理由がありますが、その1つの理由は空室が多くなると
銀行への返済ができなくなる
というてんがあります。
たしかに空室があまりにも多くなり、家賃収入が細ると、毎月の銀行への返済ができなくなる可能性があるでしょう。
多くの場合は家賃収入の半分ほどが銀行の返済に充てられるますが、家賃収入が細り銀行への返済額よりも少なくなっていくと尋常ではありません。
やがては破産するでしょう。
最近では空室リスクをヘッジするために一括借り上げによる賃貸住宅経営を行っているオーナーさんも少なくありませんが、空室が多少増えてきても、オーナーに支払われる賃料が一定であるというのは、魅力的な制度です。
しかし一括借り上げにするにしても、大東建託などの一括借り上げの大手の会社は、高い入居率を維持できないことが明白なエリアでの一括借り上げは行わないケースがあるようです。
ですから大手の会社による一括借り上げでアパート経営を行うことができないようなエリアでのアパート経営そのものは、うまくいかない可能性が大きいですので、そのようなエリアではアパート経営以外での土地活用を考えたほうが良いでしょう。
賃貸住宅過剰時代もはや賃貸オーナーにはならないほうが賢明?
少子化時代になり、日本の人口が減少し始めました。
今後は減少し続け、いずれは1億人割れになるといわれています。
日本の人口は近年横ばいであり、人口減少局面を迎えている。2060年には総人口が9000万人を割り込み、高齢化率は40%近い水準になると推計されている。
そもそも少子化の原因の1つは子供にかける教育費用が親にとって負担が大き過ぎて、たくさんの子供をもうけることが困難なためともいわれていますが、実際のところはどうなのかわかりません。
しかしいずれにしても1年間で、数十万人減り続け、2035年には1億2000万人程度になるといわれています。
ただし人口減少は進行していても、世帯数については遅れて減少に転じるようです。
世帯数の増加=住宅需要の増加ととらえることもできるかもしれません。
しかし世帯数の増加も2020年でピークになり、それ以降は世帯数も減少していくようです。
その後は世帯数も減少するということは、やはり全国的にアパート経営は厳しくなっていくということなのでしょうか。
数字上ではそういえます。
現実に今でも賃貸住宅の空室率は20%を超えています。
しかもそのようななかで新しいアパートマンションは増え続けているのです。
もちろん古くなった建物の建て替えという形で新しいアパートマンションが建てられるていることもありますが、それでもやはり今後は空室率は増加していくことでしょう。
大東建託の外国人賃貸にテコいれは今後の賃貸住宅需要の支えにも
最近、国土交通省より最新の地価が公表されました。
その地価から、さまざまな事柄が見えてきますが、見えてきた1つのてんは、外国人が集まるところは地価が上昇しているといてんです。
例えば京都とか大阪の南といったところです。
つまり今後の不動産市場全体を左右するのに、外国人の動向も1つの大きな要因になり得ることを示しているように思われます。
日本の株式相場に外国人投資家が大きく影響を与えているのと同じです。
グローバル化が進み、世界が狭くなっていくなか、外国人の動向を無視することはできません。
ところでこういった流れの中、外国人労働者の割合も今後、増えていくのではないかと考えられています。
なぜならば人口減少時代にあって労働者不足が懸念されており、必要な労働者を確保するために外国人労働者を雇う動きが見られているからです。
特に最近の若者から敬遠されがちな建設業や、離職率が高いといわれている介護の分野においてです。
こういったなか管理物件を最も多くかかえる大東建託は、外国人の賃貸住宅需要の拡大を見込み、多言語での対応体制の整備を行うとのニュースがありました。
大東建託の入居率は96%を維持している 人口減少時代にあっても
以前の記事で現在、アパートの深刻な空室急増が進んでいることについて書いたことがあります。
とにかく今の時代、アパートが急増しているなか、人口は減少しており、当然といえば当然のことですが、アパートの空室が増えているのです。
アパートマンションの30%が空室になっているとの声もあります。
しかしこういった中、みずほ証券の2016年10月11日の報告では
大東建託の投資判断の「買い」を継続。目標株価を引き上げた。大東建託が管理する賃貸住宅の空室率は16年9月末で3.7%、95年4月から16年9月末の過去21年の平均でも4.1%の低水準になっている。
と報告しました。
空室率3.7%、つまり入居率が96,3%です。
これは確かにスゴイ数字です。
空室率が全国的に右肩上がりで上昇しているなか、大東建託の管理賃貸住宅については空室率が横ばいか、やや下降しているのです。
しかも大東建託は空室率の高いアパートとの契約を打ち切っているとの嘘っぽい噂が流されていることもありますが、管理戸数も右肩上がりで上昇している現実を考えると、むやみやたらに、そのような事柄を行っているとは考えにくい事柄です。
筆者の近隣エリアでも大東建物管理のアパートマンションが幾つかありますが、管理替えで他社管理になった物件はあまりありません。
空室だらけに悩まされても管理会社が変わるとたちまち改善?
筆者の所有物件があるエリアに、ファミリー向け賃貸マンションがありますが、半年前は70~80%が空室となっていました。
このマンションですが、決して管理が行き届いていない荒れ放題のマンションではありません。
しかし非常に入居率が悪い状態が続いています。
その後、マンションの管理会社が変更になりました。
新しい管理会社は地元ではよく知られた、私鉄系の不動産会社です。
するとしばらくすると空室が埋まりだし、空室も1~2部屋程度までに回復しました。
どのような施策が功を奏したのかはわかりませんが、やり方次第で、随分と変わるものだと思いました。
ところで、このマンションもそうですが、空室だらけの物件を大きく変化させることは可能のようです。
このてんで日本経済新聞2013月4月27日の「不動産投資は楽じゃない 「勝ち組大家」の汗と涙 」という記事には空室だらけの物件をいかに満室物件へと変化させたかの実例が書かれています。
記事によると
「株式など市場と向き合うしかない投資と違い、自分好みに物件自体を変えたり、営業を工夫したりして、リターンを大きくできるのがいい」と話すのは東京都の兼業大家、・・さん(39)。10年に購入したのは埼玉県小川町の「廃虚寸前」のアパートで、空室率は75%。しかも直後に床下浸水が見つかったり、入居者が亡くなったり、厳しいスタートだった。そこから部屋を家具、家電付きに一新。「出会った人全員がお客さんだと思って」営業を続けた。全8室が埋まった今も2週に1度は小売店勤務を終えた後、往復3時間かけアパートの掃除に行く。
と書かれています。