積水ハウス以上の損失 大和ハウス巨額横領事件!!
人口減少が続く日本では、将来的に事業の拡大には限りがあるということで、海外に進出する企業は少なくありません。
ところで知らなかったのですが、賃貸住宅最大手の大東建託は現在では、マレーシアのホテル事業などで海外に手を伸ばしていますが、過去には中国の上海にも手を伸ばしていたことがあったそうです。
上海で賃貸マンションをやっていやようですが、2007年ごろに中国の会社に売却して上海からは撤退したようです。
なぜ上海から手を引いたかの詳しいことは知りませんが、おそらくは思ったようにうまくいかなかったのかもしれません。
このように海外事業には常にリスクがあり、時には大きな損失を招くことがあります。
ところで建設業界においてトップの大和ハウス工業ですが、海外事業にもかなり力を入れています。
その大和ハウス工業、海外事業で大きな損失が生じたとのニュースが入ってきました。
産経新聞2019年3月14日の「大和ハウス、ガバナンスに緩み 巨額横領、出納担当女性の無断欠勤で発覚 」という記事には
海外での資金流用という不正が判明した大和ハウス工業。少子高齢化で国内事業の先細りも懸念される中、海外事業に活路を見いだし、投資を活発化させていた矢先だった。合弁先を信じ切った末の“事故”で、海外事業でのコーポレートガバナンス(企業統治)の課題が浮き彫りになった。
大和ハウス、ガバナンスに緩み 巨額横領、出納担当女性の無断欠勤で発覚 – 産経ニュース (sankei.com)
と報じました。
このように中国での事業で、現地の中国人社員によって巨額横領は発覚したとのニュースです。
他の報道では横領額はなんと
234億円になる
とも言われています。
もちろん中国での合弁事業なので、実質の損失額は117億円程度になるようですが、それでもあの積水ハウスが巨額詐欺事件のために損失した額を、はるかに上回っています。
海外事業の怖さを示す事例の1つといえるでしょう。
ところで大和ハウス工業、以前には、労働基準監督署からの勧告を受けたり、大和ハウス工業の所長が税務署から追徴課税を求めたりと時々ネガティブなニュースが報じられることがあるのが、気になるところです。
追記:その後、大和ハウス工業の一部の物件で、不備物件があることも明らかになりました。
日本経済新聞2019/6/18の「大和ハウスの不適合住宅、倍の4000棟に 再発防止へ法令順守部門」の記事には
大和ハウス工業は18日、国の認定を取得していない基礎を使った賃貸アパートや戸建て住宅が、新たに約1900棟見つかったと発表した。不適切物件は従来の公表数から倍増し、約4千棟になった。同日、社長直轄の法令順守部門を設けるなどの再発防止策も発表したが、業界大手のずさんな管理体制が明らかになり、ブランド力の低下は避けられない状況だ。
引用:https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&ng=DGXMZO46243760Y9A610C1000000&scode=1925&ba=1(アクセス日2019/10/18)
と書かれているとおりです。
しかしそれでもレオパレス21のように経営を揺るがすほどのことは起きていません。
直近の業績速報も好調なものとなっています。
やはり会社規模が大きいので、ちょとやそっとのことでは動じないということなのでしょうか。
追記:積水ハウス巨額詐欺被害については以下の記事をご覧ください。
一括借り上げによるアパート経営が2000年以降増えるにつれて、地主が建設会社に騙されたと訴えることが多くなってきたようです。
空室になっても家賃は保証されるという魅力的に思えるシステムにのってしまったのでしょう。
またなんとか相続税対策を行わなければならないと考えていた地主さんにとってもアパート経営、しかも一括借り上げによる、手のかからないアパート経営は入りやすかったのかもしれません。
しかし、一括借り上げによるアパート経営によるデメリットも、認知されるようになり、それとともに「こんなはずではなかった」と悔やむ地主さんも増えてきたように思われます。
一方で大手の一括借り上げ業者にとっては、巧みに勧誘し、地主さんを取り込むことができたことで、多くの場合、法的な罪に問われることはありません。
あくまでも合法的なビジネスの一環として行っているので、法的には問題がないのです。
ということで、どんなに地主さんが、騙されてと感じていてもどうしようもありません。
ところで今回は、
一括借り上げも行っている、あの積水ハウスが詐欺に遭った
というニュースです。
2017年8月上旬は積水ハウス関連のニュースは、この件でもちきりです。
そもそも事件の内容とは、積水ハウスがマンション建設のために、土地を購入しようとして、地主(後に偽の地主だということが発覚する)さんに63億円という大金を支払ったものの、支払った相手が偽の地主なので、購入手続きができなくなったといニュースです。
そして大金を受け取った偽地主も大金を持ったまま姿をくらまし、積水ハウスにしてみれば、
支払った63億円を騙し取られた状態です。
今回の事件は立派な犯罪行為ですが、偽地主を見つけ出して大金を取り返すことができるのかどうかはわかりません。
一説によると積水ハウスが今回の不動産取引を依頼した司法書士に損害賠償を請求するとのニュースもありますが、もしそうなると、その司法書士、破産宣告をするしかないようです。
いずれにしても大金の絡む不動産取引、1つの過失で大きな損失を被る可能性のある、怖い取引にもなるものです。
アパートマンション経営地主さんが建設会社に騙されたという訴えも深刻かもしれませんが、積水ハウスの今回の事件はもっと深刻です。
いずれにしても、アパート経営を含む不動産取引、1つの過失がおおきな損失へとつながる取引なので慎重でありたいものです。
追記:積水ハウスにしてみれば、数十億円の損失は大きなダメージとまではいきませんが、この事件をきっかけにして積水ハウスの経営陣にはゴタゴタが生じるようになりました。
ウィキペディアには
事件の責任を取る形で、会長の和田勇と社長の阿部俊則(いずれも当時)は2か月間、減俸20%、ほかの取締役は減俸10%とする処分を発表した
と書かれていますが、その後、和田会長は経営陣から締め出されることになり、締め出された和田元会長のグループと現経営陣の対立が生じるようになっています。
そのような意味ではインパクトのある事件だったといえます。
またこの事件の舞台となった五反田の土地ですが、結局は積水ハウスのライバル会社、旭化成グループの所有となりました。