賃貸住宅 レオパレスオーナー賃料減額を巡りやはりトラブル

2019年にレオパレスの施工不良が明るみになって、数年が経過しました。
この不祥事を機に、レオパレス側もレオパレスのオーナーに支払う賃料を2年間、据え置く特例処置を取りました。
そして2021年春以降は、再び支払う賃料をオーナーと協議したうえで改定していくことになったわけですが、やはりこの賃料改定協議は難航しているようです。
ある賃貸住宅業界系の新聞によると
①借上賃料をレオパオレス側の提示にオーナー側が合意していないにもかかわらずレオパレス側が提示した減額された賃料で支払われているケースがあるというもの。
たしかに支払われる賃料については、双方の合意が必要で、どうしても合意できない場合は、調停などで調整が図られることになります。
しかし、このたびは一方的に減額された賃料で支払われてきたというのは、レオパレス側に不利な材料となります。
実際のところ、この件で裁判沙汰になり、レオパレス側が全面的に譲歩したようです。
②借上賃料が更新後は平均で約24%程度減額になっているというてん。
賃料が減額になるのは、いた仕方ないことですが、しかし24%も減額になるというのは異常です。
例えば、これまでは毎月100万円が支払われていたのが、減額で約24万円程度減らされるというのです。
アパート施工不良が解消しないレオパレス問題の報道から見えてくること

今でも収束しないレオパレス21の施工不良問題。
この問題について、様々なメディアが取り上げていて、私もそれらの記事を読むことがありますが、日本経済新聞の2019/9/17の「レオパレス、暴かれた無責任施工の実態 」という記事を読んでみて、いろいろと考えさせることがありました。
そもそもレオパレス21の施工不良問題が発覚したのは、アパートオーナーのメディアへの告発がきかっけでした。
おそらくはそのメディアとは火曜日の晩に放映されているテレビ東京の「ガイアの夜明け」という番組だと思いますが・・。
ところでこの日本経済新聞の記事では様々な事が見えてきます。
まずレオパレス21のアパートの建設費についてですが
1995年当時竣工した10戸の2階建ての木造アパートで4800円
引用:https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&n_cid=DSMMAA13&ng=DGXMZO48990590W9A820C1000000&scode=8848&ba=1(アクセス日2019/9/17)
と書かれています。
2階建て10戸の木造アパートが4800万円!!
というと
安い
のではという印象を受けます。
津市にあるレオパレス銀座 空室解消のために賃料が大幅に下落

私の所有物件がある周辺エリアにおいても、レオパレス21の賃貸住宅が多々あります。
確認できているだけでも、6棟~7棟はあるのではないかと思います。
すべてが、築10年以上になるアパートですが、駅から徒歩10分圏内にあるおかげか、空室は目立って多いということはありません。
これだけを見ているならば、各地でレオパレス21のオーナーさんが訴訟をおこしているのが、ピンとこないのですが、しかし地方ではかなり大変な状況にあるレオパレス物件のオーナーさんがおられるようです。
例えば三重県の津市には駅から徒歩ではなく車で10分ほどの所に、「レオパレス銀座」といわれるところがあるなだそうです。
田んぼも多いこのエリアにレオパレスのアパートが40棟ほどあるというのですから、まさに「レオパレス銀座」エリアです。
もしもこのエリアが駅から徒歩10分圏内ならば、空室リスクもさほど大きくなかったのかもしれませんが、車で10分ということですから、とても不便な場所です。
電車通勤をするサラリーマンならば、バス路線があるならばバスで駅まで行くか、あるいはバイクか自転車で駅に行くしかないことでしょう。
賃貸住宅のオーナーの宿命 賃料減額 レオパレスオーナーの今は?

賃貸住宅のオーナーの宿命は賃料減額です。
建物の新築の時は、高い家賃でも入居者が見つかったものの、経年とともに設備や建物も古くなっていき、家賃も下げていかなければ入居者が見つかりません。
そこで周期的に賃料の見直しが行われて、通常は賃貸住宅オーナーに支払われる賃料は下げられていきます。
ところでレオパレス21のアパートオーナーの場合は、大規模なアパート施工不良が発覚し、レオパレス21もアパートオーナーの動揺を抑えるためか、特例として2年間は賃料減額を行わないという措置を講じました。
しかし特例の2年間も終わり、昨年後半ぐらいから、アパートオーナーとの賃料減額の交渉が再開したようです。
あるメディアの報道によると、レオパレス21アパートオーナーの8割ほどのオーナーさんたちは、賃料減額に応じているとのことです。
しかし現状で2割程度のアパートオーナーさんは、賃料減額の提示に応じていないとのことです。
そして今回はレオパレス21はとても強気で、あくまでも賃料減額に応じない場合は、調停にまでもっていてでも、応じてもらうつもりのようです。
残念なことですが、今回は調停になってしまうと、やはりレオパレス21側のほうが有利になってしまい、アパートオーナー側は不利だと言わざるをえないでしょう。
ビレッジハウスがレオパレス21物件の仲介に力を入れ始める

経営再建中のレオパレス21ですが、とにかくレオパレス21物件の入居率が芳しくありません。
私の自宅の近所にも、レオパレス21パートナーズの店舗がありますが、昔は店舗内にお客さんが入店しているのをよく見かけましたが、あのアパート施工不良事件以降は、店舗内にお客さんが入店しているのを、ほとんど見かけることがなくなりました。
やはりあれだけメディアによって、レオパレス21のアパートが叩かれると、あのアパートに住みたいと思う人もあまりいなくなったのかもしれません。
ところでレオパレス21の経営が改善されるためには、やはり入居率を改善することが必要最低条件ともいえます。
実際のところレオパレス21と同じ一括借り上げで、賃貸住宅を行っている大東建託や積水ハウス、大和ハウス工業の賃貸住宅の入居率は90%以上を維持しているようです。
またコロナ渦にあっても、さほど入居率は下がっていません。
その一方で。レオパレス21の入居率はコロナ渦、入居率がずっと80%を下回っています。
そこで少なくとも、入居率を80%以上にもっていく必要があるようですが、その一助になるかもしれないニュース記事がありました。
海外事業からの撤退を加速させるレオパレス21

建設会社にしてみれば、国内事業だけでは限りがあるので、会社の成長のためには海外事業が必須となっています。
実際のところ大和ハウス工業や積水ハウスなどは、積極的に海外事業を展開しています。
大手ゼネコンなども、海外でホテルやビルディングの建設を手掛けています。
昔のことですが、フィリピンのマニラでトップクラスのホテルに泊まったことがありますが、このホテルは日本の大手ゼネコンが建てたとのことでした。
戦争ではフィリピンから撤退したものの、その後、フィリピンでは日本資本はアメリカ資本と並んで強力な影響を及ぼしているようです。
ところで経営再建中のレオパレス21ですが、海外事業からの撤退を加速させているようです。
このてんで日本経済新聞2021/1/18の「レオパレス21、ベトナムの不動産子会社売却」というタイトル記事が掲載されました。
この記事にも書かれていますが、ベトナムにあるエネルギーと不動産の子会社の売却が決まったとのことです。
さらにグアムやタイにあるリゾートホテルの売却も行う予定で、海外事業からの撤退を進めていく予定です。
おそらくは売却で得た資金を経営再建資金へと振り分けるのだと思いますが、このことによって成長よりも再建を優先させる方針であることを明確にしているようです。
アパートオーナーの賃料改定が再開 レオパレスオーナーの

2019年春に、深刻な施工不良が発覚した、レオパレス21のアパート。
来春であれから2年になろとしています。
ところでこの事件があまりにも衝撃的だったので、レオパレス21のアパートオーナーもかなりのショックを受けたことでしょう。
またレオパレス21の事業もアパートオーナーあっての事業なので、アパートオーナーの動揺を抑えるためにレオパレス21は特別に、2年間は賃料改定を行わないということを決めました。
つまりは空室がどんなに生じても、周辺の家賃相場がどんなに下がっても、レオパレス21がアパートオーナーに支払う賃料は減額しないということです。
レオパレス21は、アパートオーナーとのこの約束をどうやら守っていたようです。
しかし、この2年間がもうじき終了しようとしている今、レオパレス21がどうするのか気になるところでしたが、日本経済新聞の2020/12/21の記事によると
経営再建中のレオパレス21は賃貸アパートのオーナーとの間で、保証する賃料の見直し交渉に入る。12月上旬から説明を始めており、2021年春以後に更新時期を迎える物件について、多くのオーナーに対して減額要請をする方針だ。同社は18年に発覚した施工不良問題をきっかけに業績が悪化。米投資ファンドの資金提供を受けテコ入れを進めているが、物件の入居率低迷が負担になっている。
引用:レオパレス、家賃保証額下げへ交渉 入居率が低迷 :日本経済新聞 (nikkei.com)(アクセス日2020/12/21)
と報じました。
ソフトバンクによるレオパレス21の救済 勝算はあるのか?

経営破たんもありうると言われるぐらいに窮地にあったレオパレス21.
しかしソフトバンク系のアメリカファンドによる救済によって経営破たんは当面免れました。
しかしそれでも、アパート全体の入居率は80%割れの状態で赤字。
さらに施工不良工事のために、さらに1000億円が必要だとも言われ、健全な経営状態にはほど遠い状態が続いています。
そんななか、レオパレス21のメインバンクは、りそな銀行、三井住友銀行、みずほ銀行だったようですが、りそな銀行や、三井住友銀行は打つ手なしといった感じで、再建や救済には、消極的だったといわれています。
そのなかでも、みずほ銀行のみが最後まで、レオパレス21に役員を送っていたようですが、ソフトバンク系に米ファンドによる救済が決まり次第、みずほ銀行の役員もレオパレス21から退任するようです。
ということはソフトバンク系の米ファンド主導による、経営再建が行われていくということですが、どれくらいの勝算があるのでしょうか。
過去においても、経営が傾いた大企業をメインバンク主導で、再建されたケースは幾つもあります。
しかしレオパレス21の場合は、メインバンクも、もはや再建の道筋が見えにくく、手を引かざるをえないほど、ひどい状態だったようで、まさに末期癌の患者のような状態だったのかもしれません。
りそな銀行や三井住友銀行は最悪のシナリオ、レオパレス21の経営破たんにどう対処するのかについての検討も行われていた可能性もあります。
ビレッジハウスを運用する米ファンド レオパレス21支援の狙いは?

ダッチロール状態だったレオパレス21を支援したソフトバンク系の米ファンドですが、ファンドの巨額投資のおかげでレオパレス21そのものは経営破たんを免れることになりました。
ところでこの米ファンド、フォートレス・インベストメント・グループという名称のグループですが、レオパレス21に巨額な資金を投じるだけのメリットがあるのでしょうか。
最近はこの件に関するニュース記事をしばしば目にするようになりました。
そして実際的にレオパレス21を支援する具体的なメリットとは?
その1つには
今でも50万戸以上の管理戸数がレオパレス21にはあるというてんです。
管理戸数そのものは最大手の大東建託グループの半分といえども、かなりの規模です。
この50万戸のアパートをうまくいかせれば収益が得られるという計算があるのでしょう。
さらにこのフォートレス・インベストメント・グループは日本でビレッジハウスという賃貸住宅を運営しています。
現在のところビレッジハウスの管理戸数は約10万戸なんだそうですが、今後レオパレス21の管理戸数を合わせると、60~70万戸になるのです。
つまりは2種類の賃貸住宅を運営することによって相乗効果が生じることをもくろんでいるのではないかと言われています。
レオパレスのアパートオーナー 来春以降に正念場

米ファンドによって、とにかく経営危機を回避したレオパレス21。
しかし以前に書いた記事
でも書きましたが、これですべてが解決したわけではありません。
今後はスポンサーになってくれた米ファンドに、きちんと見返りとなることを行っていかなければなりません。
つまりは事業で幾らかの利益がでても、その幾らかは米ファンドのものになるということです。
しかも管理するアパートの入居率が80%割れと低迷するなか、事業で現時点で利益がでていなくても、米ファンドへの見返りは行っていかなければなりません。
となるとどうなるのでしょうか。
上記の記事ではそのてんについて
ならばレオパレス21はこのための資金をどこから捻出するかということになりますが、現在の80%未満の管理するアパートの入居率を、とにかく90%以上に改善するなどしなければならないわけですが、それが当面難しければ、レオパレス21のアパートオーナーに、そのシワ寄せがいくことも考えられます。
と書きましたが、このようにレオパレス21のアパートオーナーに、そのシワ寄せがいくことについて言及しました。